自己破産すべきか
自己破産で生じる制限
自己破産は無条件で適用される制度ではなく、それなりの代償を伴いますので、あらかじめ理解しておきましょう。まず所有財産については、生活必需品以外のものは手放さなければいけません。残すことができるのは、評価額20万円までの家財道具などと99万円までの現金のみです。また、自己破産の免責決定後5~7年は、新規のローンを組むことはできないと考えてください。
それから自己破産については、破産者になり得る人は手続きの期間中にも様々な制限があります。その一つが海外への渡航です。破産法では裁判所の許可を得ないと、居住地を離れることはできないので、たとえ手続き中であっても、その決まりが適用されることになります。
その他にも、特定の資格に制限が設けられています。そのため自己破産の手続き中には、該当する資格が必要な職業に就くことはできませんし、新規でその資格を取得することも禁じられています。
制限されている資格は、税理士などの「士業」、調理師、生命保険募集人、警備員、宅地建物取引主任者、旅行業務取扱管理者などです。ただし、このような制限を受けるのは破産者本人のみで、家族は含まれません。
自己破産の申立をしてから免責決定が下されるまでには最低でも3ヶ月、長い場合には半年ほどかかることもあります。その間には様々な制限があり、場合によっては不便な思いをすることになります。まずは自己破産の手続きを優先して、必要以上に時間がかからないようにしましょう。
最終的手段である自己破産
借金の返済が困難になると債務整理が必要になる場合もあります。また、何とか返済ができていても、収入と支出がギリギリの状態になっている場合にも、いずれは債務整理の時期がやってくるはずです。
債務整理には様々な種類がありますが、まずは借金の減額をする任意整理、特定調停、個人再生などから検討することになるでしょう。ただし、これらの方法が適用できるのは、安定収入がある人に限られていますし、他にも金額などでの条件があります。
そうなると、自己破産で債務整理をするしかありませんが、債務整理をするにあたっては、自己破産は最終的な手段とされています。様々な手段を検討したものの、適用できる方法がないという人のためにある制度と考えてください。
自己破産をすると財産を手放さなければいけないので、生活が大きく変わります。しかし借金は完全になくなるので、借金で苦しんでいた生活を断ち切って、新しい人生を始めるチャンスにもなります。
借金は返済ができない状態が続くほど、利息も増え続けます。また、取り立ても行われるので、精神的に追い詰められてしまいます。そして落ち着いて判断をすることができなくなり、最悪の事態をも引き起こしかねません。
そのような状態になる前に自己破産を検討して、新しい生活を目指して決断することも必要でしょう。そして、自己破産で人生をリセットしたからには、また借金を重ねるなどの同じことを繰り返さないように生活をしてください。
裁判所を通して行う特定調停
債務整理には様々な方法がありますが、その一つが「特定調停」です。手続きは債権者の住所地の簡易裁判所に、債権者に対する特定調停申立を行います。その後、数ヶ月をかけて手続きが進みますが、その間には裁判所への出廷もあります。裁判所が仲介する債務整理には自己破産もありますが、特定調停には自己破産とは異なる点がいくつかあります。
まず、自己破産では借金の返済義務が免除されますが、特定調停は減額された借金を3~5年で返済をすることになります。しかし自己破産のように自己財産がなくなるわけではありません。
それと、借金で困窮するに至った理由については問われない点も自己破産とは異なります。ただし返済が必須であるため、適用できるのは安定した収入がある人のみです。
なお、特定調停においては、過払い金があれば、その返還請求ができます。また、法定金利以上の支払いを続けてきた場合には、その分を返済分に充当することも可能です。
特定調停においては、費用の節約のために弁護士や司法書士に依頼をせずに、自力で手続きを行う人もいます。しかし特定調停の交渉は、裁判所の調停委員と債権者が行うため、下準備が万全でないと交渉が決裂してしまうこともあります。特定調停は専門家に相談をしながら進める方が良いでしょう。
特定調停で無事に和解が成立したら、滞りなく返済をしなければいけません。もしもきちんと遂行できないと強制執行の対象となり、財産を差し押さえられることになります。
メリットの多い個人再生
自己破産が認められて債務整理をすると、借金は全てなくなりますが、その代償として全ての自己財産も失うことになります。これは住宅も例外ではありません。そのため、借金の返済に苦しんでいるものの、自宅がなくなることがネックで自己破産に踏み切ることができない人もいることでしょう。
このような理由で自己破産を避けたい場合には、裁判所を通して再生計画を作成する「個人再生」という債務整理の方法を検討してみてはいかがでしょうか。個人再生は、借金の総額が5,000万円未満であれば、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)により住宅は手放さずに済みますし、最大で10分の1まで借金を減額することができます。
100万円未満の借金は全額支払う必要がありますが、それ以上の場合には減額が適用されます。具体的には、100万円以上1,500万円未満の借金は、借金の5分の1か100万円のどちらか多い方まで、1,500万円以上3,000万円未満は300万円まで、3,000万円以上5,000万円未満であれば最大で10分の1まで減額可能です。
ただし個人再生には条件があります。それはまず収入面です。正規雇用者ではない場合は小規模個人再生、サラリーマンなどであれば給与所得者等再生を選択しますが、いずれにしても安定した収入が必要です。
また、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)が適用できるのは、債務者個人が所有する住宅についてです。店舗や事務所として使用しているものは適用外であることを覚えておいてください。
任意整理で借金を減らす
借金を整理する方法としては自己破産があります。しかし自己破産は、支払いができずにかなりの困窮状態に陥っているケースに適用される制度です。どうにもならない状況ではないにしろ、借金の返済が困難である場合には「任意整理」という方法があります。
任意整理とは、債務者に代わって弁護士や司法書士が債権者と交渉をして、借金の減額などの和解契約を結ぶものです。借金の返済義務がなくなる自己破産と違って、手続き完了後にも返済は続きますが、およそ3~5年で借金を返済できるように返済額などを設定します。
任意整理のメリットは、自己破産に比べると手続きにかかる時間や、債務者への負担が小さい点です。これは裁判所を通さずに手続きを進めるからです。
また、任意整理は借金全額ではなく一部の借金についてのみ見直しをすることができるのもメリットと言えます。これも自己破産とは異なる点です。
それと、消費者金融など高利息の業者からの借金である場合には、過払い金が返還されたり、借金が大幅に減額されることもあります。なお、過払い金の返還については、既に完済している分についても適用できるケースもあります。
任意整理は自己破産のように借金がゼロになる制度ではありませんが、返済を楽にすることができます。ただし任意整理は、債権者との和解契約に基づいて返済をしていくため、手続きができるのは安定収入がある人に限られます。借金が多過ぎる人、安定して収入が見込まれる職業に就いていない人は任意整理はできません。



